英語圏の廃墟サイトや最近日本の廃墟サイトでも良く見かけるようになった、廃墟を意味する“Abandoned places”という単語。そして“Ruin”。何気にすごく違うこの二つの単語。「どう使い分けたらいいのか?」「なにがちがうの?」と問い合わをちょいちょい頂いていたので、この機会に英語圏の友人たちの協力を経ていろいろ調べてみました! 結論から言うと、「使う人の感性によるものなのでどっちを使っても自由!」、これを前提としてお話します。
Ruinって廃墟の意味じゃないの?
翻訳サイトに”廃墟”と書けば、“Ruin”と教えてくれますが、日本語の”廃墟”と同じ意味合いの単語とはいかないようです。“Ruins”は破壊された原型をとどめていない建物、ガレキ寸前のボロボロの状態や、非常に長い時間を経過して崩れている建物、つまり崩壊寸前、崩壊した建物、遺跡などに使うのが一般的です。試しに、Googleの画像検索などで、Ruinsと調べてみてください。日本語で言う遺跡ぽい画像がズラリと表示されます。

廃墟といえば、廃墟ですけど、どちらかというと遺跡ぽい。
「じゃあ、Ruinsは絶対に廃墟という意味では使えないのか?」、答えは「全然、使えますよ」。冒頭でも述べたとおり、“使う人の感性に左右されるもの”なので、自由に使っていいもんなんです。ただ、廃墟じゃなくて遺跡よりのニュアンスになるけどというだけです。わざとRuinを使えば、その廃墟に長い歴史があるなどのロマンチックな意味をもたせることもできます。
Abandonedについて
放棄された、見捨てられたという意味を持つAbandoned. 建物や人的財産など、所有物に使用する言葉で”物に対する権利を(永遠に)捨てる”や”長い間誰も使ってない・住んでない”という場所に使えます。また、所有者が戻ってこないという意味もあります。
Abandonedは形容詞なので、後に名詞をつける必要があります。場所という意味のPlaceをくっつければ、最近日本でも徐々に浸透?し始めた、Abandoned plcaesの出来上がりです!もっとも日本語の廃墟に近い意味となります。名詞によって、いろいろなタイプの廃墟を表現できる万能な単語です。
<使用例>
・Abandoned building = 廃墟
・Abandoned village = 廃村
・Abandoned amusement park= 廃遊園地
・Abandoned bomber = 廃爆撃機
・Abandoned asylum = 廃精神病院
・Abandoned ship = 廃船
etc…

RuinとAbandonedの使い分け
これはほんの一例ですが、私が実際使用する時はこんな感じです。
とある廃墟、そこは天井が崩れて外壁しか残っていないような廃墟だった場合、Ruinを使います。原型があるけれど、雰囲気が遺跡・遺構みたいだな〜の場合もRuinを意図的に使ってたりします。
建物の原型が留められていて他に言いようがないよねという場合には、Abandonedを使っています。
これはどこからどう見ても、100%遺跡ですよね!という場合は、Remainsを使います。

左:Ruins to be Vanishingと名付けた廃墟群。雰囲気的にRuinsの方が合うなと思ったので。右:Abandonedを使ってAbandoned Red Villas。
Abandonedは小さいものには使えない
Abandonedは、大きなものには使えるけど、小さいものには使えないんです。Abandoned books, Abandoned pen, Abandoned portraits・・・うーん、たしかに持ち主がいないという意味では合ってるように見えるんですが、これはちょっとおかしいです。日本語でも、小さいものに廃墟とは使わず、残留物とか遺留品などの言いまわしがあるように、英語でも残された物の状況や種類によって文章を使う必要があります。英語の難易度は一気にあがりますが、いくつか使い回しのできるものを記しておきます。
<使用例>
・Things left behind = 遺留品
・Throw away an old portraits = 捨てられた古い写真
・Personal objects left by former residents = 元住民が残した物
・The medical instruments were still there = 残された医療品

廃墟を表す英単語たち
RuinsやAbandoned placesのほかに、日本語の廃墟と近い意味合いを持つ言葉はいくつかあります。代表的なものをいくつかあげてみました。
■ Forbidden Place : 禁じられた場所
立ち入り禁止の場所をさします。て詩的な印象を与える言葉になります。禁断の果実的な美しい感じ!
■ Forgotten Place : 忘れ去られた場所
Forgotten自体は一般的な言葉ですが、組み合わせによって詩的な印象を与える言葉に変化します。ポエムや一人語り的なオシャレ文章を書く際に使うといいかもしれません。Long-forgottenと表記すると、長い間忘れ去られたという意味になります。
■ Forsaken Place : 見捨てられた場所
特に”神にも見捨てられた!”というニュアンスがあるので”Forgotten”よりさらに詩的です。文章としては使用しますが、口語ではあまり使わないようです。”神にも見放されちまった!”という強い意味があるので”最悪の場所””呪われた場所”という解釈ができる面白い言葉です。
■ Relics : 遺物
遺物という意味。小さなものにも大きなものにも使える言葉です。放棄(遺棄)されたものに歴史的重みを感じる時に使ったりします。”War relics : 戦争の遺物”などよく見かける言葉です。
■ Unfinished : 未完成
未完成のまま廃墟になってしまった建物にはUnfinishedを使います。Unfinished buildingで未完成の建物という意味です。コンクリートむき出しの未成物件などに使えます。
■ Off-limit area: 立ち入り禁止の場所
少しだけミステリアスな雰囲気を含む言葉です。謎が満ちているような廃墟に使うとグッとくるもがありそうです。余談で、”ちょっとエロい感じがする…”なんていうアメリカ人の友人の面白い意見もありました(笑)なんでかさっぱりわかりませんが、彼個人の意見なので気にしないくれとのことです。
■ Lost place : 失われた
“Lost”は”forgotten”や”forsaken”と同じような使い方ができる言葉です。後に組み合わせる単語によって、意味の重さや詩的なニュアンスが存分に伝わります。
伝説的なイメージが強い言葉なので、誰にも知られていない廃墟や辿り着くのが苦労する場所にある廃墟などに使うと面白いです。アトランティス的なやつです!
Urbexとは?
ちなみに「Urban exploration = Urbex」は単語を見てわかるように廃墟という意味ではありません。都市探索を指します。廃墟探索は、都市探索の中の細分化されたジャンルの一つになります。他には、人工構造物の探検、遺跡の探検、都市地底探検などが存在していて、最近では高所探検(Rooftop)やパルクールのルーフホッピング(Roof hopping)も都市探索に含まれることがあったりなかったり。

英語のみならず、どの言語においても、個人の人柄や感性によって言葉の意味は変化するものです。是非自分の好きな廃墟を表す言葉を英語で使ってみてください!この記事が少しでも参考になれば嬉しいです!I think, Whatever language someone speaks, meanings of every word will be slightly changed by their sensibility, like “KAWAII” in Japanese. I feel it’s really creative and free!
協力:Keith, John, Ward, Ale, Justin, Hichem and Erika! Thanks!
Thank you. Chris.
I’m not linguistic but I keep trying to write interesting articles about Haikyo.
My other Japanese friends told me that you writing style is very advanced. 🙂